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[C676] ねむいな

眠い(´A`)

[C677] ゆっくり

寝といたらええ。というかどういうことやねん(笑
  • 2011-03-03
  • JUNE
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才能の真偽

13

曇り空と、その空模様を見るに想像に難しくない冷めた風が、街を行き来する人々を
陰湿に攻めている。道端に捨てられたファストフードの紙袋が、
風に飛ばされ、そのまま毛繕いをする野良猫にぶつかった。何事かと目を見開くと
甲高い鳴き声を上げて、なおも風に弄ばれている紙袋を、追いかける野良猫が見えた。
中に餌が入ってるのではないか、と希望を胸に走ってるのかもしれない。
昼過ぎの高円寺駅周辺はそれぞれ別の目的を持って生きる人々の波で成り立っていた。
レイジは高円寺駅を改札から出て左側に出ると、正面に見えるいくつかのテナントが
入ったビル二階の喫茶店にいた。そこまで明るいとは言えない店内の、
まだ光が差し込み明るさが感じられる窓際の席に腰を降ろし、店内に飾ってある
年季の入った外国のポスターやアンティークを眺めていた。
「へぇ、あなたは『それ』があると本気で思って今日ここまで来たわけですか」
レイジと相席している男が口を開いた。ノートパソコンを開いており、作業したまま
やる気のない口調でレイジに尋ねる。高円寺は古着屋の街としても名が知られているが
男の格好もスーツに古着を合わせたような、比較的カジュアルなものだった。
髪は肩にかかる程度のパーマネントがかけられた茶髪で根元が黒いのが目立っている。
その若い身嗜みとは対照的に顔立ちは三十代の後半を感じさせる容姿である。
レイジの向かって右側に名刺が置いてある。男から渡されたものだ。
「季刊・東京ミステリー 新浪賢治」と書かれている。
新浪は季節ごとに発行される、怪しげな噂や情報、いわゆる都市伝説などを特集、
紹介するマニア向け雑誌の編集部の人間だ。霧宮光修の自殺の真相を調べるにあたり、
レイジが喫茶店で話を聞きかせて欲しい、とアポを取った結果今に至る。
「本気、というか…あったら面白いなと思いましてね」レイジはにこやかに答える。
「調査に必要な情報はどんなに信憑性が薄くても、手をつけるようにしてます。
 調べたらあなた方の作ってる雑誌は、一部のマニアにカルト的人気で内容も
 題材の説得力を失わず信憑性も高いとか。
 できれば是非情報を提供して頂きたいのですが。新浪さん」
「お褒めに預かり光栄です。だが、名前こそ耳にした事はあるものの私も実物なんて
 見た事はないですからね。やっぱり噂や都市伝説の範囲を超えてはない、というのが
 実の所じゃないかなぁ。その『千年筆』って代物は。第一、効果がね。どこぞの
 猫型の機械が出す魔法道具みたいだ」
「確かに。猫型機械と違うのは、その魔法の為に、持ち主は何かを犠牲に
 しなければならない、ですよね?」
「そう。それが『千年筆』が都市伝説として密かに知れ渡る理由です。
 力を得るために何かを犠牲にする…これだよこれ…この様式美だよ。
 ねぇ探偵さん、ワクワクしないですか。こんなに興味を駆り立てる話は他に無いですよ」
新浪は楽しくて仕方がないと噛み締めるように口角を上げた。くっくっくと声が出ている。
「お」新浪の目に何かが映ったらしく、右手を振り上げて「こっちこっち」と声を上げた。
レイジが新浪の視線を追うと注文してあった食事が出来たらしく、ウェイトレスが
首を傾げて立っていた。新浪の存在を怪訝に感じたのかもしれない。ウェイトレスは
パスタの盛られた皿を遠慮がちにテーブルへ置くと、逃げる様にキッチンへと戻っていった。
「無い、とはね」新浪はテーブルに置かれたパスタに手を付け始める「言いませんよ」
カチャカチャと、皿とフォークがぶつかる音が空間に響いている。腹がよほど減っていたのか、
凄い勢いでパスタを掬いながら食べていた。ゆっくり食べて貰って結構ですよ、と
レイジが言おうとした矢先、スプーンから飛び散ったミートソースが新浪のジャケットに
付着するのが見えた。言う気が失せる。新浪は気づいていない。
「探偵さん、まさかあなたはその『千年筆』という道具が一年前の霧宮光修の死に
 関わりがある…と考えてる訳じゃないでしょうね」
「千年筆は犠牲を捧げた主人に、偉大な才能をもたらすと云われている道具だそうで。
 どうやら、ベストセラーになった著書『真人間の証明』を発表して名は売れたものの
 次回作がなかなか完成せず、本人や栄新社も焦っていたようですから」レイジは新浪を
まっすぐ見て、言う。冗談で言ってるのではない、と新浪も察する。
「そんな環境の中で千年筆が手に入ったら、藁にもすがる思いでそれを使う、か。どうかな」
新浪はパスタの皿を空にすると、コップの水を一気に飲み干した。脇に開いたまま
置かれたノートパソコンを閉じると、腕を組んでレイジを見ながら尋ねた。
目には笑みが感じ取れた。何かを期待している。
「じゃあ聞きますが、霧宮は一体何を千年筆に捧げたと思います?」
「そうですね。命、なんて言ったらオカルトすぎますか」
「傑作だ!」
わはは、と新浪はテーブルを数回叩くと激しく笑った。馬鹿にするのとは多少異なった、
こいつは面白い事を聞いたぞ、とでも言うような軽快さを思わせた。もしかしたら
身嗜み通りに実は年齢は若めなのかもしれない、とレイジは予想する。
命。漢字一文字で表せる人の魂とやらの重さを、レイジは想像する。
彼が、たとえその悪魔の道具に自分の身を売ってまでしても成し遂げたかった事とは
一体何だったと言うのか。これは、今の段階では推理ではなく伝え説かれてきた
夢物語を前提にしたレイジの空想に過ぎない。
夢は夢でも、今回は悪夢でしかない。それはレイジも理解していた。
千年筆の存在が嘘なら、違う道を探すまで。ただし可能性は叩いてみる必要がある。
テーブルに置かれた赤い携帯電話が振動した。ちょっと失礼、とレイジに断りを入れると
新浪は電話に出て、左肩と頬で携帯電話を固定しつつ、何やらメモ書きを始める。
手持ち無沙汰になったレイジはコップの水を一口、口に含むと、店内のカウンター上にある
デジタル時計を見る。PM3時32分、と表示されていた。
「すみませんね、部下から連絡入ったのでそろそろ失礼せねばならんのですよ」
ノートパソコンを鞄にしまいながら腰を上げると、新浪はテーブルの上に2千円を
ぶっきらぼうに放った。「実に面白そうな都市伝説でね、その名も”鼻男”」
先ほどの電話でどうやら部下から記事に出来そうな情報が入ったらしかった。
レイジは両肩をすくめる。怖い話に部類するものは苦手だった。
「鼻男」
「なんか、顔のあり得ない部位に鼻があって汗だくな男が、夜中に人通りの少ない道を
 徘徊するとか・・・まあ、部下の言う意味もよくわからんのですがね」
ぎゃはは、と黄色い歯を見せて新浪が笑う。
「洒落にならない位怖いじゃないですか、それ」
「とりあえず、情報提供の話ね。千年筆の事、俺は俺で探ってみますよ。
 いや、ベストセラー作家の死に関係するなんて聞いちゃ、気にはなりますよ
 本当は名前知ってる位で、興味もあんまり無かったんですが。いいことがわかったら
 そっちにも知らせましょう」
新浪が握手を求めてきたので、レイジも椅子から腰を上げるとそれに応じた。
「ありがたいです。よろしくお願いします」
「ついでに”鼻男”の話も詳しく分かったら教えますよ」
「え」
寒気を感じ、顔を真っ青にしてレイジは苦笑いした。
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プロフィール

JUNE

Author:JUNE
JUNE(ジューン、ジュン)
旧PN:十文字貴人
男 4月25日生まれ
血液型:A
好きな事:映画鑑賞、読書、落書き、英語勉強
人間は「人生」においては誰もが素人。だから、焦らず楽しもう!

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